非居住者から不動産を購入する際の留意点

外国人が投資目的で日本の不動産を購入し、売却することが多くなりました。

そこで今回は、非居住者から不動産を購入した場合の税金についてみていきたいと思います。

居住者から不動産を購入する場合

不動産の売主が外国人であっても、日本に住所を有するなど居住者の場合は、買主が税金で特に気を付けることはありません。

非居住者から不動産を購入する場合

不動産の売主が日本に住所を有しない非居住者の場合、買主は支払方法について気を付けないと、後で多額の追徴課税を受けることがあります。

また、非居住者に該当するかどうかと、日本国籍の有無は関係ありません。

そのため、外国居住の日本人の売主から不動産を購入する場合も、同様に支払方法について注意が必要になります。

原則

日本に住所を有しない非居住者であっても、日本国内の不動産を売却して利益が発生した場合には、売却した翌年の3月15日までに確定申告を行い、所得税を納付する必要があります。

しかしながら、非居住者は日本に住所を有していないため、不動産の売却について自主的に確定申告を行い、所得税を納付することが正直期待できません。

そこで、非居住者の申告・納付漏れを防止する観点から、買主には次の源泉徴収義務が課されています(所法161①五、212①、213①二)。

買主は、不動産の購入価額の10.21%を源泉徴収し、支払日の翌月10日までに税務署に納付しなければならない

なお、この源泉徴収義務は、例外を除き事業を行っていない個人であっても課されますので注意が必要です。

実際の税金の流れについて事例でみていきたいと思います。

事例

 ×7年に日本の居住者であるAは、中国在住のBから日本のタワーマンション1室を1.5億円で購入した。
 なお、Bは当該タワーマンション1室を×1年に1億円で購入している。
 また、説明の便宜のため、減価償却等は考慮しないものとします。

【買主】購入代金支払時

買主は支払時に源泉徴収を行い、差額を売主に支払います。

支払時
  1. 源泉徴収税額 購入代金1.5億円×10.21%=1,531.5万円
  2. 支払金額 1.5億円‐1,531.5万円 = 1億3,468.5万円

【買主】源泉所得税を納付

買主は、源泉徴収した1,531.5万円を支払日の翌月10日までに税務署に納付します。

【売主】確定申告

売主は、タワーマンション1室の売却日の翌年3月15日までに確定申告を行い、所得税を納付します。

確定申告
  1. 分離長期譲渡所得 1.5億円‐1億円 = 5,000万円
  2. 所得税 5,000万円×15.315%=765.75万円
  3. 還付税額 765.75万円‐源泉徴収税額1,531.5万円
          = △765.75万円 

なお、売却した日の翌年1月1日に住所を有していないため、住民税は課されません。

例外

非居住者から不動産を購入した場合、買主には源泉徴収義務が課されるのが原則です。

しかしながら、非居住者の税金の申告・納付漏れを防ぐためという観点であっても、自己の居住用に高額とはいえない不動産を購入した場合にまで全て源泉徴収義務を課すのは酷といえます。

そこで、次の要件をすべて満たす場合には、源泉徴収義務はありません。

源泉徴収義務が課されない場合
  1. 個人が自己またはその親族の居住の用に供するために不動産を購入した場合
  2. 不動産の購入対価が1億円以下である場合

1億円を超えるマンションは、億ションと呼ばれたり富裕層が購入するものでしたが、2015年頃からマンション価額が高騰し、1億円超のマンションも珍しくなくなりました。

非居住者から1億円超のマンションを購入する場合は、自己の居住目的であっても源泉徴収義務が課されます。

そして、知らなかったとはいえ源泉徴収をしていないと、1,000万円以上の源泉徴収税額と100万円以上の不納付加算税が課されますので注意が必要です。

本記事の内容の正確性につきましては細心の注意を払っておりますが、その内容を保証するものではありません。また、本記事の内容を信頼したことによって生じた損害につきましても一切の責任を負いかねます。